コロナウイルスの検査、受けるべき? 第1回 検査の種類、検査と安心

OUTLINE

新型コロナウイルスに関わる色々な検査の名前を耳にするようになりました。代表的な3つの検査、PCR検査・抗原検査・抗体検査について、その意義、選び方などを説明します。

感染しているのか知りたい!:検査の種類

新型コロナウイルスに感染しているのか知りたい。こんな気持ちになることもありますね。感染や感染症の検査は、知りたいことによって次のように使い分けています。

  • 今、感染しているのか知りたい:PCR検査、抗原検査(定量と定性があります)が助けになります
  • これまでに感染したことがあるのか知りたい:抗体検査が助けになります

検査で安心できる、、、かな?

まず知っておきたいポイントは、上記の検査の結果だけでは疑問の答えにならないことです。それは、これらの検査は、検査を受ける人によって検査結果の持つ意味合いが変わるからです。たとえば、症状の有無や感染者との濃厚接触歴*1の有無、過ごしている環境での感染の広がり具合などによって変わります。このため、検査結果だけでの判断が難しい、または検査結果だけだと曖昧な意味のままになってしまうのです。

たとえば、もしPCR検査で陰性だった場合、検査をした時点ではウイルスが見つからなかったようだということがわかります。検査をした時点ではウイルスが体の中にいないか、検査でわかるほど十分には(まだ)増えていなかったことになります。そして、もちろん検査した日よりも後になって感染する場合があることを忘れてはいけません。このため、仮にPCR検査の「陰性証明書」をもらっても、今感染していないことの証明にはならないことも知っておきましょう。

それぞれの検査は何がどう違うの?*2

★ イムノクロマト法と呼ばれる迅速簡易検出法をはじめとして、国内で様々な抗体検査キットが研究用試薬として市場に流通していますが、期待されるような精度が発揮できない検査法による検査が行われている可能性もあり、注意が必要。*3

 

PCR検査ではウイルスの遺伝子、抗原検査ではウイルスが持つタンパク質を検査します。抗原検査はPCR検査よりも早く(30分程度)結果がでますが、見つけ損ねることがPCR検査よりも多くなっています。どちらの検査も、新型コロナウイルスがいそうな場所である口・喉・鼻などを細い綿棒などを使って調べます。唾液を使うこともあります。仮に感染していても、検査でわかるほど十分には(まだ)ウイルスが増えていないタイミングでこれらの検査をすると見逃すことがあります。このため、検査が陰性だったからといって今感染していないとは言いきれません

抗体検査では、採血によって「抗体」という免疫の担い手がいるかを調べます。免疫は、一度闘った病原体を覚えておく力を持っていますが、これは抗体の働きによるものです。もし新型コロナウイルスの抗体を持っていれば(検査結果が陽性であれば)、これまでに感染したことがあると考えられます。ただし、感染したことがあると必ず抗体ができるとは限らないため、検査結果が陰性だったからといって感染したことがないとは言いきれません。また、抗体があればもう二度と新型コロナウイルスに感染しないかどうかはわかっていません

検査はどこで受けられるの?

新型コロナウイルス感染症を診断するためのPCR検査などは、医師が必要と判断した場合に「帰国者・接触者外来」など都道府県等が指定する医療機関か、「地域外来・検査センター」で検査ができます。医師が必要と判断した場合は検査費用はかからず、初診料等が健康保険の対象となって一部が患者さんの自己負担となります。自分で希望して検査を受ける場合や、医師が関与しない民間の検査機関で受ける場合(唾液を用いたPCR検査・抗原定量検査)は全額を自分で負担します。

 

参考文献等:

※1 濃厚接触者とは
 新型コロナウイルス感染者と、ウイルスがうつる可能性がある期間(感染者の発症2日前から入院等をした日まで)に接触があった方のうち、以下のような場合に濃厚接触者と考えられます
 ・「必要な感染予防策をせずに手で触れた」または、
 ・「対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった」
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※2 厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第2版)」
※3 厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症に関する検査について」

※2021年1月現在の情報を参考に作成しています。

作成:Health Amulet編集部