感染症って何なの?​ 第2回 感染のしやすさ、潜伏期間、分類

OUTLINE

感染症は、子供や高齢者など抵抗力が弱い人ほどかかりやすい病気。でも、感染すると必ず病気になるのでしょうか。また、どんな感染症が怖いのでしょうか。

どの感染症に気を付ければいいの?:感染しやすさ

感染症は、抵抗力が弱い人ほどかかりやすい病気です。まだ抵抗力が育っていない赤ちゃんやお子さん、抵抗力が弱り始める高齢者、そして抵抗力が他の病気や薬などのせいで弱っている方で注意が必要です。また、周囲にこうした方がいる場合には、自分も感染しない、させない注意も必要です。

寒い季節は換気が悪くなるなどの理由で感染が広がりやすいことが知られています。また、新しい感染症が出てくると、多くの人は抵抗力が育っておらず感染しやすい状態が続きます。

気を付けるべき感染症の例

  • 子供:はしか、水ぼうそう、おたふくかぜ、ノロウイルス、手足口病など

  • 高齢者:インフルエンザ、ノロウイルス、結核など

  • 免疫力が弱っている方:MRSA、帯状疱疹(ヘルペス)、カンジダなど

感染しても感染症にならないことがあります:潜伏期間

感染症とは、体内で増えた病原体のせいで発熱や吐き気、下痢や咳などの症状が出ている状態を指します。一方で感染とは、感染症になる前の、ウイルスや細菌などの病原体が体内で増え始めた状態(症状はまだ出ていない状態)を指します。感染してから感染症になるまでの期間を潜伏期間と呼びます。もし体の抵抗力が強ければ、感染しても感染症にならずに病原体に勝つ(体から病原体をなくす、病原体の活動を止める)ことができます。その場合は症状がないまま(潜伏期だけ)です。このため、感染者の人数と感染症患者さんの人数は違うのです。潜伏期間であっても、ほかの人にうつすことがあることに注意が必要です。

結局、どの感染症が怖いの?:感染症の分類

どれが一番怖いとは簡単には言いきれません。かかったら怖い感染症には、たとえばエボラ出血熱というエボラウイルス感染症があります。かかった場合の致死率がなんと80~90%にもなる恐ろしい感染症ですが、日本での発症はまだ確認されていません。一方、感染の広がりやすい(感染力が強い)感染症も別の意味で怖いです。空気感染する、はしか(麻疹)、水ぼうそう(水痘)などが代表例です。この二つの感染症はワクチンで予防できます。

日本の法律では、症状の重さと感染しやすさなどから感染症をいくつかに分類しています。さきほどのエボラは1類、はしかや水ぼうそうは5類となっています(下記を参照)。1類がもっとも危険度が高く、感染が確認されると入院隔離となります。新型コロナウイルスは、現在「指定感染症」に分類され、2類に相当する扱いとされています*1が、これを見直す動きも出ています*2。

参考:日本の感染症法における分類*3

 
 

一類感染症

感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が極めて高い感染症 例)エボラ出血熱、ペスト、ラッサ熱など

 
 

二類感染症

感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が高い感染症 例)結核、SARS、MERS、鳥インフルエンザ(H5N1、 H7N9)など

 
 

三類感染症

特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症

例)コレラ、細菌性赤痢、腸チフスなど

 
 

四類感染症

動物、飲食物等の物件を介してヒトに感染する感染症 例)狂犬病、マラリア、デング熱など

 
 

五類感染症

国が感染症発生動向調査を行い、その結果等に基づいて必要な情報を国民一般や医療関係者に提供・公開していくことによって、発生・まん延を防止すべき感染症

例)インフルエンザ、性器クラミジア感 染症等

 
 

新型インフルエンザ等感染症

・インフルエンザのうち新たに人から人に伝染する能力を有することとなったもの ・かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているもの 例)新型インフルエンザ、 再興型インフルエンザ

 
 

指定感染症

現在感染症法に位置付けられていない感染症について、1~3類、新型 インフルエンザ等感染症と同等の危険性があり、措置を講ずる必要があるもの 例)政令で新型コロナウイルス感染症を指定

 
 

新感染症

人から人に伝染する未知の感染症であって、り患した場合の症状が重篤であり、かつ、まん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるもの