OUTLINE
新型コロナウイルスに関わる色々な検査の名前を耳にするようになりました。代表的な3つの検査、PCR検査・抗原検査・抗体検査について、その意義、選び方などを説明します。
検査、受けるべき?
そもそもPCR検査や抗原検査は、医師が「この患者さんの症状は、新型コロナウイルス感染症ではないか」、「この患者さんは、新型コロナウイルスに感染しているのではないか」と疑ったときに使うことが基本になります。これで検査結果が陽性だった時はほとんどの場合、この感染症は新型コロナウイルス感染症だ、この患者さんは感染している、などと医師は診断します*1。もし検査結果が陰性だった場合には、ほとんどの場合医師は「新型コロナウイルス感染症ではありません」と診断します。なぜなら、検査をした時点で医師は症状などから「何かの感染症であること」をかなり疑っています。その状況で検査をした場合には、検査結果を信頼できるのです。
このようにPCR検査や抗原検査は、検査を受ける人によって検査結果の意味合いが変わってしまうため、検査をするかどうかの判断や検査結果の解釈を専門家にゆだねているのです。検査を受けるかを自分で決める際には、事前に十分に情報を得た上で、検査を受けるかどうか、どの検査を受けるのかを選ぶようにしましょう。
それでも検査を選びたいんだけど
国は、以下の場合に検査を勧めています*2。抗体検査は対象となっていません。
新型コロナウイルス感染症を疑う症状*3がある人(濃厚接触者*4含む)
症状が出てから9日目以内:PCR検査、抗原検査
症状が出てから10日目以降:PCR検査、抗原検査(抗原定性検査は避ける)。どちらの検査でも唾液による検査は勧めない
濃厚接触者で、症状がない人
PCR検査、抗原検査(抗原定性検査は勧めない)
濃厚接触もなく、症状もない人は検査をするべき対象に含まれていません。これは、PCR検査や抗原検査は、検査を受ける人によって検査結果の意味合いが変わってしまうからです。医師は、検査結果が意味を持つように、症状などを考えて検査すべき方を決めています。このため、医療機関ではないところで検査をした場合、そこに医師がいない限り検査結果を使った診断はしてもらえません*5。この場合には、自己判断で結果を誤解してしまって、受診や治療が遅れたり、感染の拡大につながったりすることがないように注意しましょう。
じゃ検査する意味あるの・・・?
自分で検査を受けに行く意味はないの?と聞かれるとそうとも限りません。検査結果がどんな意味を持つかを理解できるように事前に準備しておくことと、より大事なこととして結果に応じた対応を自身でとれるように準備しておけば有意義な検査にすることができます。大事なことは、検査の結果だけで安心できることはない現実を知っておくことです。普段からの予防を徹底することと、あれ?と思ったら、かかりつけ医か、相談先に迷う場合には「受診・相談センター(地域により、相談機関の名称や受付方法が異なります)」に電話相談してください*6。
考文献等:
※1、5 厚生労働省 「新型コロナウイルスに関するQ&A(医療機関・検査機関の方向け)」
※2 厚生労働省 「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)病原体検査の指針(第2版)」
※3 新型コロナウイルス感染症の症状
「正しく知ろうCOVID-19情報サイト」 新型コロナウイルス感染するとどうなる?
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※4 濃厚接触者とは
新型コロナウイルス感染者と、ウイルスがうつる可能性がある期間(感染者の発症2日前から入院等をした日まで)に接触があった方のうち、以下のような場合に濃厚接触者と考えられます
・「必要な感染予防策をせずに手で触れた」または、
・「対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(1m程度以内)で15分以上接触があった」
厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※6 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)」
※2021年1月現在の情報を参考に作成しています。
作成:Health Amulet編集部