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ワクチンは、感染症やその重症化の予防に使う医薬品のこと。多くの感染症から人類を救ってきました。ワクチンはどのような働きをするのでしょうか。
ワクチンは感染予防のための道具
ワクチンとは、感染症やその重症化の予防に使う医薬品です。感染症とは、病原体が体内に入り込んで増え、症状が出る病気です。症状は病原体の種類によってさまざまで、発熱や吐き気、下痢や咳などがあります。
ワクチンは子供から大人まで広く使われ、世界では毎年250万人以上もの子供の命を感染症から救っているとされています*1。たとえば、日本でも過去に猛威を振るった天然痘という感染症は、ワクチンのおかげで世界から根絶されました。
免疫の記憶力を生かす
ワクチンは、体の抵抗力を強めて感染症から体を守ります。この抵抗力を免疫と呼びます。免疫には記憶力があり、一度闘った相手のことを覚えてくれます。このおかげで、私たちの体は一度かかった感染症にはその後かかりにくくなります。ワクチンは、感染症になる前に免疫に「練習」をさせて相手のことを覚えさせ、抵抗力を鍛える道具です。
※WHO「E-learning course on Vaccine Safety Basics」を元にHealth Amulet編集部作成
ワクチンは病原体のフリをする
ワクチンは病原体のフリをした薬です。これを接種(体の中に入れること)すると、免疫はワクチンを本物の病原体だと勘違いして闘い始めます。練習試合のようなものです。こうして免疫は、ワクチンという練習台で本物の病原体との闘い方を事前に覚えます。そうすると、その後本物の病原体がやってきたときに免疫は効率的に闘うことができるので、体を守ることができるのです。
ワクチンって怖くないの?
病気の治療に使う薬と違い、ワクチンは感染症予防のために健康な人にも使います。このため、その安全性には薬より厳しい基準が使われています。それでも、ワクチン接種に伴って予期しない反応や好ましくない反応が体に起きる場合があります。これを「有害事象」と呼びます。有害事象の原因は、ワクチンそのもののほかに、接種される人が抱える不安や、実はワクチンと無関係だと後になってからわかるものがあります。残念ながら、今の技術では有害事象を完全になくすことはできません。
よく見られる有害事象には、ワクチン接種後の発熱や倦怠感、接種した場所の痛みや腫れ、アレルギー反応などがあります。熱や痛み、腫れは数日で治ることがほとんどですが、「あれ?」と感じたらすぐに接種した医療機関に相談しましょう。
作成:Health Amulet編集部